堺意外史

Vol.36 晴明辻(大小路付近)の信仰

 ここ数年来、陰陽師(おんみょうじ)安倍晴明ブーム。若い女性たちに人気があるのは、映画やテレビで人気タレントが出演したからであろうが、その背景には、テロとアメリカの報復戦争、それに協力する政府、とどまる事のない環境破壊、リストラと高い失業率、構造改革を唱えながら混迷する小泉内閣、展望が開けない現状の閉鎖感がある。

 平安時代の暗闘する貴族の権力抗争と不安定社会を背景に、日常の行動から国家の重要事まで、占い・祈祷にすがる社会にあって、天文・暦を扱う陰陽師に特別な霊力や予知力があると思われ、陰陽寮という役所が置かれていた。後世、占い師たちが役人にすぎない安倍晴明を葛の葉の狐伝説に結び付けて、超能力者に仕立てたために有名になった。

 堺の旧市街を南北に分ける摂津と和泉の国境線に当たる大小路と大道に近い、東六間筋との交差点を古くから晴明辻とか占い辻と呼ばれ、ここで吉凶を占うとよく当たると伝えている。『堺鑑(さかいかがみ)』(1684年)によると、晴明が泉州信太村(堺・和泉市)からこの辻を通ったときに、占い書を埋めて辻占いを行ったと伝えている。しかし、同じ江戸時代の『全堺群志』(1757年)は、「皆、拠無の説なり」と、晴明がこの道を往環したから付会したにすぎない、とすでに一蹴している。

 この辻から真東1.3kmのところに摂津泉三国の接点・三国ヶ丘に方違神社がある。ここでも、方位・日時など諸事に忌みがあるとし、今でも出向・引っ越しなどの安全祈願をする人を見かける。いずれも境界にあたるところに、特別な意味を持たせたものと思われる。不安に対して真正面から対応できない時代に起きる現象と見ることができないか。

(阪堺線大小路電停前)

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